おとやすみ日記

ゲームプランナー、一児の父です。

細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」を夫婦で見てきた。


映画「おおかみこどもの雨と雪」予告3

 

前評判を聞いて
サマーウォーズのように派手ではないけれど、力強い映画」
という想像だったのですが、結論から言うと
「やっぱり、夫婦で見に行ってよかった」でした。
(やっぱり、というのには理由があります。)

ええとまず、おおまかなストーリーを
ネタバレしない程度に説明しますね。

おおかみおとこの「彼」と大学で出会った主人公の「花(はな)」は、
やがてその彼と愛し合う仲に。

そして二人のあいだにはふたりの子供が産まれるのですが、
そのふたりは人間でもおおかみでもない、
ちょっと変わった「おおかみこども」でした。

そこから始まる、ちょっと不思議な子育て物語です。

  

もう、序盤から涙が止まりませんでした。
ふとスクリーンに照らされた妻の顔を覗くと、目元にハンカチが。

始まる前は、
「俺、きっと泣くわー」「うん、絶対そうだね」
というやりとりだったのですが、なんだ、二人して号泣か、と。

いまの自分たちのライフステージに近しいものを感じるだけに、
共感、期待と不安がシンクロし、
そして感動がだいたい「4割増し」でした。

自分たちと同じような若い夫婦や母親、
とくに女性に見て欲しい映画です。

  

予告編ストーリーを見たときから、
母子家庭の家族の物語というだけで
「これは絶対劇場で、ふたりで見たい」と思っていました。

これからの結婚生活にきっと
良い風をもたらしてくれると確信していたからです。

その予想は的中し、観たあとはお互いに
いつもより思いやりをもって接している気がします。

きっとブルーレイディスクが出たら、買うでしょう。
結婚生活でうまくいかないとき、つらいときに観返すでしょう。
観るときは、必ずふたりで。

 

僕自身、育った環境が母子家庭でした。

母・姉・弟の僕という家族構成も物語と同じで、
性格的にも3人とも映画の登場人物に似ていると感じただけに、
観ている最中も観終わったあとも、昔のことを思い出していました。

田舎に移り住んだ主人公の花が、
里のご近所さんたちに助けられながら生活していく姿を見ながら、
とても変わり者ですごく厳しかったけれど
たくさん助けてもらった自分の祖父母のことを思い出したり。

 

そう、母子家庭というものは、
周りからの理解と援助がなければ生活できないのです。
母は強し、といいますが、
やっぱり毎日泣きたくなるほどしんどいはずです。

頑張る、頑張らないという問題ではなく、自分がやらなきゃいけない。
誰からの強制ではなく、愛情。子育てという本能。

そう、人の持つ本当の強さのその源には、
誰かに対する愛情があるのかもしれません。

 

それにしても、宮崎あおいという女優はものすごい。

ひとりの大学生がだんだんと母親の姿になっていくその変化が、
力強い台詞のひとつひとつから感じられました。

ひとことに込められた感情が、
言葉が震わす空気、息遣いから伝わってくるようでした。

劇中の音楽がとても好みの良い感じだなぁと思っていたら、
エンドクレジットには高木正勝さんの名前が。

主題歌を歌うのはアン・サリーさん。
劇中に登場するイラストは、goen゜(ゴエン)の森本千絵さん。

素晴らしいスタッフとアーティストたちによって、
この映画は一瞬一瞬がとても印象深いものに仕上がっています。

 

劇場で見る前に、監督の細田守さんと
主人公の花の声を演じる宮崎あおいさんが、
監督の故郷である富山へ赴き、
思い出の場所や舞台となった場所を巡るという特番を観ました。

その中で、細田監督はサマーウォーズ公開後に
母親を亡くしたということを知りました。

その事実を知っていたからか、
この映画は母親に育てられた息子だからこそ描くことのできる
「親孝行」のようにも感じました。

そしてその母親に対する想いは、
誰もがいつかは共感できるものだったからこそ、
この映画がこれほどまでに支持されているのだと思うのです。

 

派手なアクションや演出はないけれど、
人の優しさや親子の愛情をたくさん感じられる、
夏にピッタリのとてもいい映画です。

 

おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)

おおかみこどもの雨と雪 オフィシャルブック 花のように

劇場公開映画「おおかみこどもの雨と雪」オリジナル・サウンドトラック