おとやすみ日記

ゲームプランナー、一児の父です。

クリエイターにとっての課題図書(だと勝手に思ってる)「出発点―1979~1996」著者:宮崎駿

出発点―1979~1996

出発点―1979~1996

「自分を支持してくれる人達を鏡に映出して仕事をしだしたらお終いだ。」
「いま、ある種の苦々しさなしに自分たちの商売を語ることはできない。自分たちが手本にした1950年代のいくつかの作品と較べ、80年代のぼくらはジャンボジェット機の機内食のようにアニメーションを作っている。大量生産が事態を変えたのだ。貫くべき真情や想いは、はったりや神経症や、くすぐりに席をゆずってしまった」

ジブリが好きだから読みたいとか、嫌いだから興味ないとか、そういう問題ではなくて。この本、クリエイターは必読だろうと僕は考えています。アニメーターに向けて語っている言葉が多いと思いきや、それらはクリエイターすべてに向けられた言葉であり(特に演出面を考える人)、「うんうん、」「そう、そうなんだよなぁ」と思うこともしばしば。600ページ近いボリュームでこの値段。よくある、装丁はやたらセンスのよろしい「クリエイター向け書籍」を見る前に、みんなにこれを読んでほしい。とはいえ僕も、まだ全部読み終わってないんだけどね。

読んでて感じるのは、時代と共に価値観が変わっている、ということ。宮崎駿本人はその事態を憂いているということ。そして、クリエイターはその変遷に立ち向かっていかなければならないということ。クリエイターといえども、なにかを創造しながらその一方で一時的な流行や、それによって生み出されている安易な価値観に毒されているんです。そして、そんな影響を受けた自分たちが作り出したものを見た新しい世代が、「あぁ、これでいいんだ」と感じ、安易なものを作り出していくという悪循環。クリエイターとして高みを目指すのならば、その悪循環から抜け出すための一歩を踏み出さなきゃいけないと感じてます。僕はまず自分の生み出すものに対してこれまで以上にストイックになろうと思いました。

そして、10年前から今年までのインタビュー、対談の内容をまとめた続編が、発売されたようです。こちらも読んでみようと思います。

折り返し点―1997~2008

折り返し点―1997~2008