上司のための戦略的ほめ方・叱り方(石田淳)
できる上司に求められる能力は優れた「ほめ方」「叱り方」。
体系的なマネジメントスキルのない上司は、自らの経験談を語りがち。確証された再現性はない。
なにより、企業の経営戦略とそれら経験談がリンクしていない。
そこで必要なのは、汎用的な「教科書」。
人の心は変えられない。人の行動を変えよう。
結果とは行動の積み重ね。
意識を変えようとするのではなく行動から変えていく。
上司の仕事は、部下が喜んで仕事をする環境を作ること。
直接的指導より、環境づくり。
部下に足りないのはやる気でも意識でもなく、合理的な行動。
行動の変化を促すためにほめるのが大事。
人は、自分のとった行動をほめられると、その行動を自発的に繰り返す。
上司が部下をほめるのは、部下を喜ばせるためではなく
上司にとって望ましい行動を、自発的に繰り返させるため。
脳科学的にも、ほめられたときと報酬をもらったときの脳の働きは同じ。
不足行動と過剰行動。
不足行動は「ゴールが遠くて成果も不確実」。
過剰行動は「ゴールが近くて成果が確実」。いわゆるサボり。
不足行動に対してはほめることで報酬を与える。
過剰行動に対しては叱ること、あえて無視することで減らしていく。
行動科学の原点は、結果とは行動の積み重ねであるということ。
結果に至るまでのひとつひとつの行動を評価しなければならない。
ほめる:しかる=4:1の割合が目安。
人格否定とは、その人の変えられないものを否定・批判・攻撃すること。
プレイヤー型上司の欠点は「再現性の低さ」。
プロ上司に求められるのは、チームの成果を高めること、チームの離職率を引き下げること。
部下それぞれの動機づけ条件を観察するための飲みニケーション。
そこから褒めるポイントを探っていく。
女性は仕事と感情が連結しているので、男性社員とは違ったアプローチが必要。
女性社員に対しても「行動」のみを褒め、「行動」のみを叱る。
人間の営みのすべては「行動の集積」であるということ。
行動分析学→応用行動分析→行動科学マネジメント
成果の出ない部下の行動を詳細にチェックすれば、必ずどこかに誤った行動がある。
努力する、コミュニケーションをとる、は行動科学的には「行動」ではない。
努力する→具体的な行動に落としこんで指示することが必要。
人がなにかをできない理由
「やり方がわからない」「やり方はわかっているが、続け方がわからない」から。
このふたつを身につければ、できない人は出来る人にかわる。
社外の成功例を取り入れても、成功しない。
社内の出来る人の行動を徹底的にチェック、観察して具体的なチェックリストを作る。
部下に、目標とする社員を挙げさせて、彼自身に目標となる社員の行動を観察させ、
チェックシート化させていく。それを自分がチェックして不足している箇所を埋めていく。
なんのためにその行動をしているのか?を理解させた上でチェックリスト化していく。
チェック項目を達成したら、そこでほめる。
ルールが具体的な行動に落とし込まれていないマニュアルは無意味。
量が多かったり、継続できる仕組みが書かれていないとダメ
結果がはっきりしていなくてもダメ。
褒めるときに大事なのは、いつ、誰が、どこをほめるか。
褒め方は問題ではない。
すぐ褒めるのが鉄則。
できない場合は、上司と部下のあいだで評価のルールを予め決めておき、
金曜日のこの時間にその週にあったことを褒める、というようにすれば効果は出る。
ゴールの前に、小さなサブゴールを設定してあげる。
ほめるポイントカードの仕組みは意外と有効。
「社内マネー制」
ほめる文化を醸成させる「サンキューカード」
月に一度評価を伝える時間を作る。(アセスメント)
チーム制とゲーム性を取り入れる。
作業日報に得点をつけ、チームメンバー全員分を合算、など。
脳科学では、感動とは予定外報酬のこと。